過払い金返還から任意整理への誘導に注意(大分団地新聞8月号)

大分団地新聞にコラムを連載しています。

「過払い金」という言葉が日本を駆け巡って久しいですが、皆さんはどの程度知識があるでしょうか。「借金をしても過払い金が戻ってくるので大丈夫」と安心していてはいけません。

 

 過払い金は、2010年6月18日以前の借金に発生している可能性のあるものです。したがって、それ以降の借入については過払い金は発生していません。またクレジットカードでショッピングをした際の負債や、リボ払いやローン払いの場合にも過払い金は発生しません。さらに債権者が倒産している場合や、借金に関する情報があまりに少ない場合等も、過払い金請求は不可能です。

 

 そもそも完済(最終取引)から10年経過している場合には、過払い金の返還請求権は時効で消滅しているため、過払い金は戻ってきません。

 

 いまだにコマーシャルで過払い金を取り戻せるとうたう法律事務所や司法書士事務所がありますが、どなたでも対象というわけではありません。そしてその際注意が必要なのは、過払い金は取り戻せないけれど、借金が大変なら任意整理をしようと持ち掛けられ、安易に契約してしまうことです。客観的には自己破産が最もふさわしいと思われるケースでも、任意整理へ誘導されたとの話をよく聞きます。しかし結果として、任意整理では支払いを続けられない方が弊所にお越しになり、改めて自己破産を希望するということがとても多いです。それまでに支払った任意整理費用は無駄となり、戻ってきません。借金でお困りの際は、ぜひ複数の弁護士等からアドバイスを受けることをお勧めします。